太平恵民和剤局方は、992年に国家の薬局である「和剤局」によって編纂された世界初の国家薬局の標準薬方集です。
太平恵和剤局方について
『太平恵民和剤局方』(たいへいけいみんわざいきょくほう、局方と簡略)は宋の時代(960年~1279年)992年(北宋初期)は国家の薬局である「和剤局」によって編纂されまました。この時代は中国の歴史において文化、経済、学術が大いに発展した時代であり、中医学や薬学の分野でも重要な進展が見られました。この時代には、国家が医療制度の整備を進め、医書の編纂が積極的に行われました。その中で、局方の発展が特に注目されます。
局方は、国家が主導して薬方(処方)を集め、体系化し、医療の標準化を図る上に、国家または特定の地域で使用する標準的な処方を指し、特に公的な医療機関で用いられることを想定して作られました。
特徴について
『太平恵民和剤局方』世界初の国家薬局の標準薬方集として、中医学の歴史上、非常に重要な位置を占めています。
主要な方剤を集め、処方とその用法・効能を整理。
薬材の規格や製造方法も明記されており、薬材の品質管理が始まった時代の象徴です。臓腑の調整、外科的疾患、婦人病、子供の病気など、多岐にわたる分野の処方を網羅。
局方は以下のような意義を持っています:
- 医療の標準化を推進し、医師の治療の質を向上。
- 薬材の品質管理や規格化により、信頼性の高い薬剤を提供。
- 中医学の知識を体系化し、次の時代に引き継ぐ基盤を築く。
この医書は、中国国内だけでなく、周辺諸国(日本や朝鮮)にも伝えられ、後の医療基準に大きな影響を与えました。