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今回は虚実の概念の問題を紹介します。
問題内容:
証候の虚実のうち「虚」が示すのはどれか?
A.体質虚弱
B.気血虚弱
C.正気不足
D.邪留傷正
E.精気虚衰
解釈内容について
選択肢Aの「体質虚弱」は「精・気・血・津液とその機能の虚弱状態を示す概念です。
選択肢Bの「気血虚弱」は虚証の一つタイプです。
選択肢Cの「正気不足」は精気不足、抵抗力、治癒力の低下などを示しています。
選択肢Dの「邪留傷正」は邪気が体に残って、正気を損傷している状態を示しています。
選択肢Eの「精気虚弱」は精気が虚弱している状態を示しています。
従って、正解は選択肢Cの「正気不足」を選ぶ。
注意点:
虚実の判断では、虚とは正気不足、実とは邪気が盛んでいるという意味です。
虚は「正気」が虚損し、「正気不足」が病理に反映したという意味で、
体質は臓腑機能の状態、「精・気・血・津液の多さと機能状態を指します。
正気には、二つの意味があり、
①「人体の機能」で、主に機能臓腑や経絡、気血などの機能を指します。
②疾病に対する「抵抗力」と「自然治癒力」を指します。
そのために、正気不足は「体質虚弱」、「気血虚弱」、「精気虚弱」を
含めているので、正気不足は「体質虚弱」、「気血虚弱」、
「精気虚弱」との関係は並列の関係ではなく、「体質虚弱」、
「気血虚弱」、「精気虚弱」は正気不足に属すると考えられます。
問題の選択肢の意味を理解して、関連する理論への理解を
深めることになり、更に注意点の部分に総合的な解釈、理解の要点を重点に置いて
説明することで、問題の奥深い部分を理解することができます。
この問題によって邪気が体にあれば、すぐに実証を判断することが
ダメという理由がわかります。
虚と実の判断する基準が理解することで、将来の臨床で、
虚実への治療の方針が把握できるようになります。
臨床では、虚証を判断するだけで不十分で、また、陰虚か、陽虚か、
どの臓腑にあるかを明確する必要があることを理解するのに役立ちます。
また、正気と精気の意味は異なり、それを区別するコツをつかむことができ、
この問題にトライすることで得るものが多いと思います。