脾虚が生じると食後の膨満感、水様便のほかに、短気
疲れやすい、脈緩、面色萎黄などの症状が
みられますが、特に「短気と疲れやすい」という症状が
必ずと言ってよいほど生じます。
その原因は脾が後天の本で、気血の生化の源のため
脾虚であれば、気虚、気血両虚などを引き起こします。
脾虚による短気と疲れやすいという症状についての論文
(中国医薬学報1991年10月第6卷第五期P51)があり
その結果は酸欠と関与すると報告されています。
中医学でいう短気とは、息切れのように呼吸が短く浅く
早いものの続かず、喘と似ていますが肩を上下させず
喉からも痰鳴がしないという現象を指します。
短気の発生を脾肺の関係から見ると、脾は肺を養わず
肺の中に宗気の生成が正常にできなく、短気の
症状が生じると考えられます。
この論文では、短気のメカニズムは赤血球膜の
ある部分が酸素を取り込む働きが故障する
証拠として突き止めました。
脾虚による酸欠のメカニズムは肺の呼吸機能の
低下ではなく、酸素の運ぶ部分にあるということになります。
脾虚による短気の治療は肺の働きの回復ではなく
補脾を行う結果として酸素の運搬という働きを
回復することになります。
中医学の弁証の目的は症状の発生原因と
メカニズムを明らかにすることで、論治は
弁証の結果についてその原因とメカニズムに
対しての治療を行うことです。
中医学の奥深い理論が様々な研究によって
少しずつ解明されるのことは非常にうれしいと思います。
弁証のレベルを高めるために、土台として
八綱弁証、臓腑弁証を勉強する必要があると思われますが
実際に中医基礎理論の蔵象理論の
勉強がさらに重要だと考えています。
従って、中医学アカデミーの教育では、
中医基礎理論の勉強を最重要として
教育カリキュラムを取り込んでいます。