中医学の特徴の一つは弁証論治です。
弁証論治は複雑な臨床症状に対応して、病気の原因
性質、部位を見出すことを弁証、そして弁証に基づいて
適切な治療を行うことを論治といいます。
論治は治療原則と治療方法が含まれ、
治療手段は薬、針灸などがあります。
薬は、一味だけを用いるのではなく
複数の生薬を混合した方剤という形を用います。
その為、方剤学は、構成生薬、配合率、服用方法などの
内容で成り立っています。
これから、方剤学での配合率について少し話します。
方剤の最も肝腎なところは配合率です。
長い臨床体験から構成生薬の構成割合(配合率)がまとめられています。
例えば、玉屛風散の配合率が黄耆3 白朮2 防風1という割合は
黄耆の補気と固表という働きを主にして、白朮は黄耆を応援し
防風は発散と袪風をしながら、黄耆の固表と拮抗して
腠理の開閉を最適な状態にするという目的があります。
玉屏風散の配合率について曲衛敏、呉敏毓は赤血球補体C3bの
働きへの影響について研究を行い、その実験結果はこの配合率での
効果が非常に良く、黄耆の配合率を増減すると
赤血球補体C3bへの効果が逆に低下してしまうということでした。
(皖南医学院学1996年第15巻第3期)
この玉屏風散の配合は例の一つですが、方剤学では
配合率を覚えることが非常に重要です。
したがって、国際中医師試験の弁証論治の試験では、配合率の
理解が不足していると判断されれば、点数に影響が生じます。
臨床では、治療の工夫の一つは配合率を調整することです。
日本では、製品化された漢方薬を取り扱うことが多いため
配合割合について理解しがたい面もありますが
各メーカによって配合が異なる漢方薬もありますので
治療効果を高めるために、方剤学の配合について詳しく
理解することが不可欠だと考えています。