新型コロナウイルスが蔓延するにつれ、「免疫力向上」というキーワードの検索率が高まっています。
一般的に免疫力とは人体が病気に抵抗し、病気の混乱を回避する力であると理解されてますが、
免疫系には、体液性免疫と細胞性免疫が含まれ、この2つの部分が互いに協力したり
互いに抑えあうことで、強力な免疫システムの構築に繋がります。
体液性免疫と細胞性免疫の関係は、伝統的な中医学における陰と陽の関係に似ています。
中医学では、陰陽の平衡を保つことが健康を維持する大きな要因であると考えており
陰陽のバランスが失われると、病気が発生します。
花粉症は、強すぎる体液性免疫と弱い細胞性免疫の状況があることによって引き起こされる病気です。
例えば、水疱ウイルス性角膜炎の研究では、黄耆はTh1を促進し、TH2を抑制するということで、
Th1/Th2のバランスを調和するという働きを発見したそうです。
また、漢方薬の配合により、それぞれを調節する作用があるということです。
したがって、免疫力を向上させるよりも、「免疫システムのバランスをとる」という表現が
より相応しいと思います。
医療専門家が免疫力を高めるという言葉をあまり使用しない理由でもあります。
中医学の治療の原理の研究では、多くの学者が中医免疫学という用語を提案しています。
その理由の1つは、中医学の弁証論治に従った結果、
患者の免疫系のバランス(細胞免疫と体液免疫)がよく調整されたことです。
したがって、中医学を深く学び、弁証論治のレベルを向上することは、
患者がバランスのとれた免疫システムを構築するための重要な方法とも
言えるではないかと考えています。