中医学では「津液不足」という表現が多く使われていますが、
津液不足は、体内の水液が不足している状態と理解している方が多いと思います。
しかし、水液不足だけでは解釈が不足しています。
津液は、人体にある正常な水液の総称で、臓腑を滋養し、
関節を潤滑させ、肌膚を濡養するなどの働きがあります。
津液不足とは、津液が虧損し減少したため、
全身あるいは一部の臓腑組織や器官に、
津液の潤滑滋養作用がなくなって起きる証候を指します。
この状態を津虧や津傷ともいいます。
ここで、注意していただきたいのは、
津液不足は津液の量が少ないだけではなく、
津液の潤滑滋養という働きが故障することが含まれることです。
津液不足を招く原因は、主に脾胃虚損、
津液の過度の喪失(津液の流失、津液の損傷)と
肺の通調と腎の気化機能による輸布機能の失調があげられます。
肺脾腎は相互に密接な関係があり、津液の病変は、
一般に津液不足と水液停聚(滞って凝集する)に分けられます。
特に脾胃虚損では脾胃による水穀の運化作用が虚弱になり津液の生成が不足し
津液の過度の喪失は傷津、液脱の病理変化を引き起こします。
臨床では、口燥と咽乾し、唇が乾燥して割れる、皮膚がカサカサして艶がない、
小便が短少、大便が乾結(乾燥して兎糞になる)、舌紅、津が少ない、脈細数などが生じます。
津液によって体、臓腑、器官などは潤いを保ち養われ、必要に応じて血へ転化されます。