慢性便秘では排便を促したいために下剤を多用しがちです。
中医学では各臓腑の生理機能理解することで、
便秘とそれぞれの症状と見極めて漢方薬を選択します。
例えば、疲れやすい、カゼをひきやすい、汗をかきやすい、
喘息や鼻炎などの持病がある場合の多くは肺気虚と関与します。
肺には、「宣発」と「粛降」という働きがあり、粛降の働きのひとつに
肺に溜まっている不要な老廃物を処理し、また大腸の排便(伝導作用)を応援します。
長期間の咳、喘息や慢性的な鼻炎などを患った方は、肺の粛降作用が低下します。
その為、肺気虚による便秘では、便意があっても排出しにくい、便は乾燥せず硬くもない、
お腹が張りガスが臭うなどがみられ、排便時にいきむと汗が出やすく呼吸が乱れやすくなります。
また、その他の特徴では、疲れやすい、顔色が白くつやつやするなどが見られます。
便秘にはこのようにそれぞれのタイプがあり、
それぞれのタイプによって便秘の特徴と伴う症状が異なります。
病気は『一病多証』の特徴があります。病は病気を、証は病気のタイプを指します。
病気のタイプはどの臓器にあるか、病気が寒か熱か、
虚か実かなどの様相を含みます。
中医学を勉強する目的はそのタイプの中身を掴み、正確に判断して適切な漢方処方を投与します。
肺気虚による便秘の治療は、玉屏風散や麻子仁丸で調整して行います。
病気のタイプを掴む能力を身に付けるためには
中医学の土台をしっかりさせなければなりません。
中医学の土台を作るために中医基礎学、
中医診断学、中薬学、中医方剤学、中医内科学の勉強が必要です。