寝汗の症状に補陰薬を用いたのにそれほど効果が得られない場合があります。
なぜ?
中医内科学の汗証には自汗と寝汗の区別があり寝汗は睡眠中に汗出があり、
目が覚めると汗が止まるという特徴があるとしています。
中医基礎理論では陰虚の特徴的な症状の一つとして「寝汗」をあげていますが、
汗証のタイプの一つである邪熱鬱蒸がひどくなると寝汗が生じる場合があります。
寝汗の特徴と陰虚の特徴的な症状に対する固定概念は、
中医学の臨床応用に影響を与えます。
「寝汗=陰虚」と結び付けて理解されている方が多く、
誤りではありませんが「寝汗=陰虚」と単純に覚えることは
治療に誤りが生じる可能性があります。
臨床では症状が現れる可能性を一つに絞らず
いくつかの判断基準を持ち合わせておくべきです。
少なくとも陰虚火旺なのか邪熱鬱蒸なのかを
判断するために必要な引出しを持たなければ適切な問診ができません。
漢方SP講座では、詳細に二つのタイプの特徴を紹介しています。