黄帝内経

黄帝内経は中医学に関する最古の医学書。中医学の理論体系の基礎を築いた古典医書の一つである。

黄帝内経とはどのような書籍か?

『黄帝内経(こうていだいけい)』は、中医学の理論体系の基礎を築いた古典医書の一つであり、紀元前3世紀から紀元前2世紀ごろに成立したと考えられています。黄帝(伝説上の中国の皇帝)と、彼の医師である岐伯(きはく)との対話形式で書かれており、現代の中医学においても重要な指針となり、医療の現場で広く活用されています。
この書物は、「素問(そもん)」と「霊枢(れいすう)」の二部構成となっています。

素問について

医学の理論的基盤を示し、人体の構造、疾病の原因、治療法に関する基本的な知識を体系的に説明しています。特に、五臓六腑、気、血、陰陽、五行などの概念が中心となっています。

霊枢について

治療法に特化した内容で、特に鍼灸治療の理論や実践が詳しく述べられています。人体の経絡(けいらく)についても詳細に解説されており、経絡は体内のエネルギーの流れを司り、臓腑間のつながりや、臓腑と皮膚、筋肉、骨などを結びつける重要な役割を果たします。この理論は、現代の鍼灸治療においても基本的な概念となっています。

黄帝内経における中医学の基本概念

『黄帝内経』における中医学の基本概念は主に陰陽(いんよう)学説、五行(ごぎょう)学説、気、血などです。

陰陽学説について

自然界や人体における二元的な対立と調和の概念であり、陰と陽のバランスが健康維持や弁証論治(病状の分析と治療方針の決定)において最も重要とされています。

五行学説について

自然界や人体のあらゆる現象を「木・火・土・金・水」の五つの要素に分類し、それらの相互関係を通じて理解する考え方です。

五行は、臓腑の働きや病理の解釈にも応用され、人体のバランスを理解する上で重要な理論となっています。

治療原則、治療方法への応用

陰陽学説と五行学説で多くの臓腑の働き、臓腑間のバランス、および治療原則、治療方法に応用されています。

気(き)は、生命エネルギーとして人体の生理機能を維持する重要な存在とされている物資です。

気の流れや臓腑における気の働きが健康に影響を与えます。例えば、流れが滞る場合、「気滞、不足の状態を気虚ということです。

血(けつ)は人体を構成し、単なる血液ではなく、臓腑に栄養を供給し、精神の安定にも関与します。

血の巡りが悪い状態を瘀血、血が不足するのが主に養う働きが弱い状態で血虚といいます。

『黄帝内経』の貢献について

『黄帝内経』は、これらの理論的基盤を確立し、後世の中医学の発展に大きな影響を与えた重要な医学書です。現在でも、中医学の診断や治療の基本となる理論として学ばれ、臨床の場でも応用されています。