先日のブログ「補腎薬のすすめ」では、腎の働きのひとつ
「精」について紹介しましたが、本日は腎の「開合」について紹介します。
腎の働きの中には水液を主り(主水)、全身の水液代謝の平衡を調節する作用がありますが
腎の主水に開合の調節という働きが含まれています。
開は、腎陽の温化と腎気の推動作用により、生体に不用になった
濁液を尿液として体外に排出する働きを言います。
開の機能が失調すると濁液の排出機能に異常が生じ排尿にトラブルが現れ
尿量が減少して、酷くなると浮腫なども生じます。
合は腎陽の蒸騰と腎気の固摂作用により、生体に必要な清い水液を貯留する働きを指します。
合の機能が失調すると津液の再利用ができず全て尿となり
排尿量が多い、尿の色が無色などの病理現象が生じます。
この開合の調節作用の故障は、腎の精気が不足することによるものが多いです。
腎の精気は、先天的な虚弱、労働や運動などによる過労、過度な性生活
出産回数が多い、慢性疾患などによって傷つけられます。
また、これらの原因に加齢が加わると更に腎の働きが弱まります。
腎の精気の不足によって頻尿や夜間排尿だけではなく
排尿困難と尿量の減少も引き起こすことになります。
治療においては、「開」が不足する場合は、補腎をしながら温陽利水の方法で対応します。
「合」が不足する場合は、補腎をしながら、腎気を収斂する方法で対応します。