これからの季節に使われることが多い胃苓湯。
胃苓湯の能書には、以下のような内容が記載されています。
水瀉性の下痢、嘔吐があり、口渇、尿量減少を伴う次の諸症:
食あたり、暑気あたり、冷え腹、急性胃腸炎、腹痛。
能書には、嘔吐物の臭いの有無、多めに水を飲みたがるか
或いは乾きがあるだけで水を欲しないなどの口喝の特徴、
また暑気あたりは陰暑と陽暑の区別などは記されてはいません。
漢方薬の運用規則は弁証論治です。
胃苓湯は芳香燥湿の平胃散と通陽利水の五苓散の合方製剤で
病理要点は湿邪が盛んで脾胃に気滞が生じることで生じる
下痢、嘔吐、食欲不振などの治療に用いられます。
弁証の際には、臨床症状を踏まえてさらに確認作業を行います。
わざわざ二つの方剤を組み合わせて用いる意味を理解しなければ
活用はうまくいかないと思います。
能書に頼るばかりでは「腕」はあがりません。