漢方・中医学のよび方

日本では漢方、中国漢方、中医学などの表現が存在しています。
漢方を表す言葉の変化には諸説あるようですが、
時々お尋ねになる方がおいでになりますので少しご紹介しようと思います。

中国では、1940年代まで「漢方医学」「漢薬」「漢医」(医者)などの表現が使われていましたが
1950年後半から、漢方或いは漢方医学を中医学、漢薬を中薬に変更したそうです。
また中国では一般的に中医師の医者を「中医生」と呼びます(過去には漢医とも呼んだ)。

日本では、1980年代頃から中国漢方という表現を使用し始めたということですが、
2000年ごろから「中医学」という表現が多く使われるようになりました。
元々中医学は中国の漢民族の伝統医学を指していましたが、
現在は中国の伝統医学の総称となっています。

日本では漢方は、主に中国の漢の時代に日本に伝授された医学を指し、
以降「漢方」が定着したようです。
漢の時代の代表作として主に内経、傷寒論、金匱要略などが
知られており、日本でも多くの方がこれらの書物を学んでいます。

更に中医学は漢の時代から発展を続け、明と清の時代に温病学が創設され、
また「景岳全書」「本草綱目」「医方集解」などの中医の専門書が世に出ることで、
中医学の発展に大きく貢献し、1950年代になると中国政府の強い勧めにより
中医学を更に発展させていきました。

日本はこの状況を踏まえて、積極的に中医学を導入し、
過去の漢方と区別するために中国漢方と言い始め、
専門用語の解釈をすすめていくことで中医学という表現を日本に停着させました。

これからも中医学が日本の皆さんの健康に大いに役立つことになればと願っています。