水分・塩分・そして…。

猛暑が続き各地で熱中症になる方が多く、まさに天災のようです。
中医学では自然の気候の変化によって生じる病気の原因を六淫といいます。
六淫は、外部からの影響で病気をひき起こし、原因は風・寒・暑・湿・燥・火です。
この中で夏季にしかない邪気を暑邪といい、暑邪は熱中症を引き起こす邪気です。
「暑」は盛夏の季節に、火熱の気が変化したもので陽邪に属し、これが人体に
影響を及ぼすと火熱の病理変化をひき起こします。
暑邪には「昇散」の性質があり、暑邪が体を侵襲すると気分に入り、
腠理を開かせ汗出などの病理状態が現れます。
腠理が開いてしまうと気と津液が守られず体外へ漏れでてしまいます。
その為、暑邪が侵入すると「大汗」という症状と共に
津液虧損による口渇喜飲、尿赤短少などの症状がみられます。
また、気は汗と共に外泄するので気虚を招き、息切れ、
脱力感等の臨床症状が現れます。
病理状態では、気虚と津液不足が同時に存在する気津両虚になります。
熱中症の予防として、水分、塩分の補給が大切と
言われていますが、中医学の観点から収斂と補気益陰の
のある薬を用いるべきと考えます。
収斂作用の薬を用いることで、腠理の開閉作用を
正常にし、気と津液の外泄を守ることができます。
水分を補給しても口の渇きが取れないことがありますが、
そんな時は収斂作用のある「梅干し」を一緒に
食すことで汗と口渇を和らげます。
もし、脱力感を生じるようであれば生脈散などの方剤が有効です。
生脈散は、西洋ニンジン・五味子・麦門冬の3味で
構成された方剤ですが、気と津液が耗傷した場合に絶大な効果があります。

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