小青竜湯と苓甘五味姜辛湯の使用要点について
中医アカデミーのシステムには国際中医師試験の過去問題を
すべて登録してあるので、
勉強中に中医学を学びながら、国際中医師試験の準備に繋がります。
今回は支飲に関する問題を紹介します。
問題内容:
咳逆喘満し横になれない、白沫痰、冷えを受感し悪化、発作すると寒熱、
背痛、舌苔白滑、脈弦緊。治療で選ぶべき方剤はどれか?
A.苓甘五味姜辛湯
B.葶藶大棗瀉肺湯
C.小青竜湯
D.大青竜湯
E.麻杏石甘湯
回答結果はCです。
解釈内容について
選択肢Aの「苓甘五味姜辛湯」は支飲の寒飲伏肺で、
体虚で表証が明らかではない場合の治療方剤です。
選択肢Bの「葶藶大棗瀉肺湯」は支飲の寒飲伏肺で、
飲多寒少で表証が現れない場合の治療方剤です。
選択肢Cの「小青竜湯」は支飲の寒飲伏肺や溢飲などの治療方剤です。
選択肢Dの「大青竜湯」は溢飲の表寒裏熱の治療方剤です。
選択肢Eの「麻杏石甘湯」は喘証の表寒裏熱の治療方剤です。
従って、選択肢Cの「小青竜湯」を選びます。
注意点:
「喘促は遇寒加重、冷えを受感し悪化、発作すると寒熱白沫痰、白滑苔」は、
外寒と痰飲に属する支飲の特徴です。
弦緊脈の弦脈は痰飲と気滞、緊脈は寒邪の印です。
纏めると、病名は支飲で、証候診断は外寒飲伏肺です。
支飲の判断要点は以下の要点があります。
1、寒邪を確認すること。
外来の寒邪を感受したり冷たいものを飲食をとったりしたことを含み、
表寒の症状を伴い、冷えを感受すると咳喘が悪化するなどの症状が現れます。
2、寒邪が肺に入ると、久咳が喘となり、また繰り返し長びき、
寒邪を感受すると、喘咳を引き起こします。脈は弦緊の症状が見られます。
3、長期間の喘咳により肺を傷つけられ肺気は津を布散できず、
また陽虚のため津液の運化ができず、飲邪が胸膈に留飲して上逆し、肺に迫ることです。
白沫痰を吐く舌淡白、白滑苔などほかに、酷い場合は顔や足背は浮腫が見られます。
治療方剤は小青竜湯で、表寒と裏飲を同時に治療する特徴があります。
表寒が少なく、裏飲が酷い場合、白涎沫痰がかなり多く、喘咳が酷いが、
悪寒発熱が見られない場合、葶藶大棗瀉肺湯で治療します。
この問題のトライで得るものが何か
支飲の診断要点がわかるようになります。
支飲の治療においては、小青竜湯と苓甘五味姜辛湯の鑑別要点もわかるようになります。
小青竜湯は多くの病証の治療に用いていますが、外寒裏飲は使用ポイントです。
国際中医師試験の問題にトライする時に、問題の回答を覚えるだけで、
その理由がわからないと、勉強の効率と深さが足りなくなる恐れがある一方、
漢方の応用に中々繋げられません。
中医学アカデミーがそれぞれの問題を丁寧に解釈する目的は
深く理解していただいて、中医学の学習効率が向上させて、臨床の応用に役立つためです。
問題に何回もトライして、更に深く理解したうえに、楽しく漢方の勉強ができるようになります。