夜間多尿は、夜間に排尿回数が多くなることをいいます。
個人差はありますが1時間おきに目が覚めるという場合もあり、睡眠を妨げます。
慢性的な夜間排尿は「腎」と深く関与します。
腎には水液の輸布と排泄機能が備わっており、人体の各臓腑や組織で水液を利用した後、
水液は腎に戻り、腎中の蒸騰気化作用によって水液の清濁分泌が行われ、
不要な水分は膀胱に送られ貯尿されて排出されます。
腎の働きが正常であれば、
腎の「開合」作用も正常に働くので尿の貯留と排泄も正常に行われます。
腎に病変があたっり、腎と膀胱の調整機能が加齢と共に弱まると
「開合」作用が損なわれ、頻尿など排尿のトラブルが生じるようになります。
腎の働きが弱まることを腎虚といい、頻尿の他にも足腰がだるい或いは慢性の腰痛、
疲れやすい、息切れなど様々な症状を伴うようになります。
腎虚には、腎陰虚と腎陽虚の区別があり、これを判断するには随伴症状を確認する必要があります。
腎陰虚の夜間多尿は火照り、寝汗、舌紅、不眠などが見られ、腎陽虚の夜間多尿は冷え、
眠ても疲れが取れない、舌淡白などが見られ
それぞれ随伴症状を確認したうえで漢方薬を選びます。
腎陰虚の夜間多尿の治療方剤は麦味地黄丸など、
腎陽虚の夜間多尿は八味腎気丸と補中益気湯の併用です。
相談される場合は、ご自分の症状の特徴をはっきり伝える必要があります。