「発声」に関連する臓腑は、肺と腎の二臓で、肺の主気作用と腎の納気作用によって声が発せられます。
中医学では、「声がかすれる」状態を「金破不鳴(金、破して鳴かず)」と「金実亦不鳴(金実にして鳴かず)」といいます。弁証する原則の一つで金破不鳴は主に虚証、金実亦不鳴は実証に属します。「声がかすれる」という病には実証もあれば、虚証もあるということです。
「金破不鳴」は肺気虚、陰虚、腎虚などで声が出せなくなる病証を指します。
金破不鳴の場合は、肺気が虚で喉へ津液を運ぶ力が弱く陰液が上行できない、、あるいは陰虚で陰液が少ないため、咽喉部を潤わすことができなくなります。腎虚で肺腎の相生関係が崩れて、津液が肺と咽喉部に上がれない状態です。
この三つの病証の治療方剤について紹介しましょう。
肺気の治療方剤は玉屏風散など、陰虚の治療方剤は麦門冬湯など、腎虚の治療方剤は杞菊地黄丸などを主に用います。外感の症状はみられず、症状は主に声がしわがれて出しにくくなります。
金実は邪気(六淫・瘀血・痰湿など)が盛んで声が出せなくなる病証を指しています。
肺気が実で、多くは外感の風寒が肺で抑えられず中に入り、寒気凝滞によって肺気がいきわたらず生じる場合や、風熱燥邪が肺陰を焼く又は寒が鬱積して熱がとなって津液を熬煎して痰熱が生じで肺の静粛機能を失って生じる場合があります。