医方集解(いほうしゅうかい)は康熙34年(紀元後1695年)、医師・汪昂(おうこう)が編纂した、代表的な処方解説書。
『医方集解』とは、どのような書籍か?
医方集解(いほうしゅうかい)は清代の医師・汪昂(おうこう)が編纂した、代表的な処方解説書です。康熙34年(紀元後1695年)に刊行されました。
この医書の特徴について
重要な処方をまとめたガイドブック
- それまでの医学書に散らばっていた名医の処方を整理し、体系的にまとめた。
- 古代から清代までの代表的な方剤(処方)約340種類を収録。
「八陣分類」による整理(処方を8つのグループに分類)
- 汗法(かんぽう) → 発汗させて表証を治療する処方(例:麻黄湯)
- 吐法(とほう) → 嘔吐を引き起こして、邪気を排除する処方
- 下法(げほう) → 瀉下(下剤)作用のある処方(例:大承気湯)
- 和法(わほう) → 気血と臓腑の調和を整える処方(例:小柴胡湯)
- 温法(おんぽう) → 体を温める処方(例:四逆湯)
- 清法(せいほう) → 熱を冷ます処方(例:白虎湯)
- 補法(ほほう) → 正気を補う処方(例:四君子湯)
- 消法(しょうほう) → 健胃・消化を助ける処方(例:保和丸)
簡潔でわかりやすい解説
- 各処方の組成・効能・適応症・応用のポイントをコンパクトに解説。
- 初学者でも理解しやすく、実用性が高い。
その意義について
本書は清代以降の中医学の基本テキストとして広く使われました。日本の漢方医学にも影響を与え、江戸時代の医学者が多く学びました。現在でも中医学を学ぶ人にとって「方剤の基本書」とされています。