前回の続きとして、肝脾不和の肝気犯脾について紹介します。
肝気犯脾には実証に属するもあれば、虚証に属するものもあります。
主な症状として、腹痛と共に泄瀉があり、腹痛が激しく、泄瀉の勢いが強い
排便後は腹痛が緩和する、便が生臭い、弦脈などがみられます。
そのほか、随伴する症状はイライラして怒りっぽい、目眩頭痛、胸の痛み、頻尿などです。
虚証は病気が長期で疲れやすく、食慾不振、下利便
腹痛があるが激痛ではなく慢痛がみられます。
実証の多くは症状が急に現れ、感情の変化、特に怒りによって発生します。
虚証の肝気犯脾を脾虚肝乗といい、代表方剤の一つは小建中湯又は黄耆建中湯の加減です。
実証の肝気犯脾は肝木乗土とも言い、代表方剤の一つは四逆散の加減です。
従って、中医の参考書では、肝脾不和に対する論述はそれぞれがあり
その中では、肝脾不和と肝気犯脾の区別をあまり明確にしなかったものもあります。
自分が肝脾不和の概念を明確に把握することができれば
中医参考書の内容が肝気犯脾のどの証候に対する弁証論治か理解することができ
臨床力のアップにつながると考えられます。
「望文生義」は中医学勉強の大敵といわれています。
「望文生義」とは、ある言葉を正しく理解せず、文字だけをみて
不適切に解釈をするという意味です。
中国と日本は漢字を使うので、望文生義というミスを犯しやすいと考えています。
特に中医学では、望文生義のミスがとても多いと感じています。