中医学を学ぶ上で大切なことは「中医学の考え方」を理解することです。
病気の発病と発展から治癒に至る機序に対して、中医学は様々な角度から病気を認識します。
例えば、病気が発生する場合、陰陽失調の状態、正邪盛衰の変化、
気血の故障、津液の代謝への影響、経絡の変化、臓腑の働きの故障などを中医学の視点で見ます。
臨床では、病気の発生と変化はテキストに書かれた内容より遥かに複雑で、
一つの側面を見るだけでは、
病気の全体や病気の原因と過程に関する病理の特徴とその変化を把握することはできません。
だからこそ、「様々な角度から病気を認識する」という考え方の目的は、
病気の病因と病理特徴などを掴み、適切かつ効果的な処方を選択するために必要です。
例えば、頭痛で悩む方の相談では、陰陽の角度から陽盛(風熱か肝火上炎か)によるものか、
邪気によるものか(風湿か風寒か風熱か)、肝陰虚によるものか(腎陰虚を伴うかも)、
気血の故障がどこにあるか(気滞か瘀血か)、津液の代謝に故障があるか(痰飲など)、
どの経絡が詰っているか(太陽経か厥陰経か陽明経かなど)など、
四診を通じて症状の特徴を分析する必要があり、その上で最も適切な漢方処方を選択し
必要に応じて加減を行うなどの判断をします。
従って、弁証論治を行うために、中医学の分析方法を
身につけなければならないということです。
分析方法を身につけて、自分が中医学の知識の不足部分を自分で察知することが出来るのです。
この病気にこの漢方薬…、このような判断の仕方は
少々乱暴なやり方で、患者にも自分にもメリットは全くありません。
中医学の理論を学びながら、その分析方法が少しずつ身に付けば、
進歩も早く複雑な症状に対応できるような力がつきます。