中医学とは

中医学は、数千年という歴史とともに発展してきた
中国の伝統の臨床医学で、発祥地と長い歴史から見ると、
中医学を中国伝統医学とも言います。

中医学は医学理論と薬学理論が含まれているので
現在は中医学を中医薬学とも言います。
薬学理論には、中薬学、方剤学があります。

中医の医学理論と薬学理論を土台に、臨床経験に
基づいて発展してきた中医学には以下の二つの特徴があります。

1.整体概念(せいたいがいねん)

整体概念は日本語に訳すと、整体観ということです。
人体は、自然界から住居環境や気候の変化など
様々な影響を常に受けています。

その一方で、人体それ自身は自然からの影響を
受けても自身の陰陽平衡を保つ(陰陽のバランスをとる)ために
五臓六腑・気血津液などが働いています。

陰陽平衡が均衡を失い病気になった場合、それを治すには
陰陽平衡の状態を戻させることです。
したがって、中医学は一種の「バランス医学」と
言っても過言ではありません。

2.弁証論治(べんしょうろんち)

弁証論治のイメージはオーダーメイド医学のようなものです。
オーダーメイドは患者さんの意識に合わせることではなく、
体の陰陽平衡を正常化するという要求を満たすことを指します。

各々の患者さんの病気の性質と部位、また病気の原因と
病気の変化の状態(発病のプロセス)を見出すことを
弁証といい、これは四診などといわれる作業に含まれます。
弁証による判断に誤りが生じないよう、判断する能力が問われます。

次に弁証の結果から、病気に適切な
治療要点と治療方法を見出します。
治療方法は、弁証に従い見出すもので
この一連の作業によって各々の治療を決定します。

弁証のレベルを上げるために、中医基礎理論、中医診断学、
内科学、また外科学、婦人科などの勉強が必要です。

論治は中医学的な治療のことを指します。
治療を実現するための内容として、中薬と方剤、
また鍼灸などが含まれます。

これらの内容を深く勉強しなければ、弁証ができても
適切な論治ができません。

論治においては、更に重要な考え方があります。
それは中医学の予防という考え方です。
中医学の予防は未病先防(みびょうせんぼう)と
既病防変(きびょうぼうへん)があり、
未病先防は、病気が発症する前に体の微小な変化(症状)を
見出だして病気が発生する前に、予防治療を行う考え方です。
中医の養生法は未病先防に属しています。

既病防変は、病気が発生した場合、病気が発展する先を守り、
病気の発展を食い止めながら、病気への適切な治療を行う考え方です。

中医的な予防医学は病気にかかりにくい体質を作り、
たとえかかっても素早く治療することに大いに役立つものだと言えます。
したがって、国際中医師は中医学の二つ特長を深く理解し、
臨床経験を積むからこそ、更なる成長ができると考えています。

中医学とは