中医内科学/半夏厚朴湯に関する問題

中医アカデミーのシステムには国際中医師試験の過去問題を
すべて登録してあるので、勉強中に中医学を学びながら、
国際中医師試験の準備に繋がります。


今回は半夏厚朴湯の投与に関する問題を紹介します。


問題内容:

半夏厚朴湯が適用されるのはどれか?

A.精神抑鬱、情緒が不寧、善く太息し、胸脇脹痛、
痛処が不定、脘悶し噯気し、腹が脹って納呆


B.性情が急躁易怒、胸悶し脇脹、呑酸嘈囃し、口乾口苦


C.咽中不適で、何か物がふさがるよう、喀之不出、咽之不下、胸中が窒悶する


D.精神恍惚で、心神不寧、悲憂善哭、時々欠伸する


E.多思善慮、心悸胆怯、少寝健忘、面色不華、頭暈神疲、食欲不振


回答結果はCです。

解釈について

選択肢1の「精神抑鬱、情緒が不寧、善く太息し、胸脇脹痛」は
肝気鬱結の鬱証の特徴症状であるので、柴胡疏肝散で治療します。


選択肢2の「性情が急躁易怒、胸悶し脇脹、呑酸嘈囃し、口乾口苦」は、
肝鬱化火の鬱証の特徴症状であるので、丹梔逍遙散で治療します。


選択肢3の「咽中不適で、何か物がふさがるよう、喀之不出、咽之不下」は
気滞痰鬱の鬱証の特徴症状であるので、半夏厚朴湯で治療します。


選択肢4の「精神恍惚で、心神不寧、悲憂善哭、時々欠伸」は、
憂鬱傷神の鬱証の特徴症状であるので、甘麦大棗湯で治療します。


選択肢5「多思善慮、心悸胆怯、少寝健忘、面色不華、頭暈神疲、食欲不振」は
心脾両虚の鬱証の特徴症状であるので、帰脾湯で治療します。


従って、選択肢3の「咽中不適で、何か物がふさがるよう、喀之不出、咽之不下」を選びます。

注意点:

気滞痰鬱は鬱証の一つの証候で、その病理は気滞と痰飲が絡みあうことにあります。

選択肢C.の「咽中不適で、何か物がふさがるよう、喀之不出、咽之不下、
胸中が窒悶する」といった症状から、病名は鬱証、
証候は気滞痰鬱、治療方剤は半夏厚朴湯になります。

半夏厚朴湯は行気散結、降逆化痰の効能があり、

その構成生薬は半夏12g 厚朴9g 茯苓12g 生姜9g 蘇葉6gです。


配合について、

半夏は君薬として化痰散結・降逆和胃に働き、

厚朴・茯苓は臣薬、厚朴は下気除満に働き、半夏の散結降逆の功能を助けます。

茯苓は甘淡滲湿に働き、半夏の化痰の功能を助けます。

この問題のトライによって

半夏厚朴湯は日本でよく知られている方剤で

鬱証に多くみられる症状の治療に用いられます。

中医学の鬱証は実証と虚証に分けられています。

実証の治療方剤は半夏厚朴湯、柴胡疏肝散、丹梔逍遙散などがあり、

虚証の鬱証の治療方剤は主に甘麦大棗湯、脾気湯などです。

この問題のトライでこの五つの方剤の使い方がわかるようになります。

中医内科学の教材には、配合に関連する情報がありませんので、
半夏厚朴湯の配合の情報も提供して、更に理解を深めるようになります。


このように内科を勉強することで、理解が深くなると共に、臨床の使い方を掴むことに役立つと考えています。

中医学アカデミーは生徒さんの更なる成長のために、引き続き努力してまいります。