「練習問題が解けない」という悩みをお持ちの方へ

国際中医師試験の選択問題をみると、「案外簡単そう…」と感じる方もいるかもしれません。しかし、実際に解いてみると、解答を選択した理由をうまく説明できないことがあると思います。
多くの方にとって中医学に触れるのは、社会人になって漢方薬を扱うようになってからではないでしょうか。そこで初めて「中医学」なる学問に出会うのです。
そのため、漢方薬を扱う経験があったとしても、そこで身に付いた知識は漢方薬を選ぶのに必要な理論のみに偏っている場合がほとんど。中医学を体系的に学んでいなければ解答の理由を正しく説明できません。
点で覚えた概念と理論を線にするには、インプットした知識を繋いでアウトプットする体系的な知識が不可欠です。
例えば下記の練習問題を見てみましょう。

問題:心神不安は、心血だけに関与するか 正しい 誤り

この問題を解決するには、以下の5点について理解していなければなりません。
①「心神」は、何を指すか。
②心神が安定している場合は、どのような状態であるか。
③心神不安は、どのような状態を指すか。
④心血はどのようなもので、働きは何か。
⑤心気はどのようなもので、働きは何か。
中医基礎理論には、「心は君主の官、心は神明を主る」とあり、中枢神経系統をコントロールする役割があると考えられています。人体の気血は心の働きの影響下で生理活動を行っているのです。
心神が安定するには、心の拍動など働きを支える心気と、心の精神活動を物理的に支える心血の充実が土台となります。これに対して心神不安を招く原因は心気と心血の不足。従って、この問題の回答は「誤り」になります。
この問題に正しく回答するには、少なくとも心神不安の原因が二つあることを理解する必要があります。すなわち、心神不安の症状を見る場合、少なくとも心血か心気に問題があるかを鑑別する診察をしなければなりません。
問題を解くことで原因を正しく理解することが、練習問題の本当の目的です。臨床弁証の基本は、どこから考え、どのように分析するか、によって病気の病因病理を正確に見つけることにあります。
中医基礎理論の勉強が臨床の弁証への指導に非常に重要なことがお分かりになると思います。
次に心気と心血について話をします。

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