「疲れ」に効く漢方は?

「患者さんが『最近どうも疲れる』と訴えたら、補中益気湯ですよね?」とよく聞かれます。実はこれ、ちょっと違います。
なぜ違うのか、中医学、漢方では「基本のき」は症状の裏を見ることです。
「疲れている」なら気力が足りない。だから気を高めようと考えるのはわかります。ですがそれはとても安易で危険です。
「疲れている」の原因が肝鬱気滞なら、補中益気湯や人参などを用いることで、かえって悪化させてしまうこともあるのです! そんなことになったら大変ですが、現実にはその危険性を放置したまま使われることもあるのです。
同じような症状を訴えたとしても、原因や病気の流れ等によって使う薬は全く違います。これを「同病異治」といいます。中医学では、同じ症状に対して違う処方を治療するという意味です。
そもそも、「疲れ」とはどういう症状なのか。そこからきちんとわかっていないと、疲れの原因という判断もできません。
仮に、強い倦怠感があったり、なかなか毎日のけだるさが抜けない、というような主訴があったとします。その原因としては、「気が足りない(気虚)」のほかに、「気の流れがよくない(肝うつ、現代ではストレスという)」というのも考えられます。
これだけではありませんが、大きくこの2つがあります。
では疲れの原因をどう判別すればよいのか。この続きは次回にお話します。

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