中医学アカデミーでは、「治せる力」を身につけて頂くことを学習の目標のひとつに挙げています。
「治せる力」を培うには、中医学の土台を構築する理論を吸収し、
それを実際に使えるようになる必要があります。
理論を学ぶ上で多くの方が、説明を聞いたり本を読めば解る、「あ~、そういうことなんだ」と。
しかし臨床現場にたち、病気に悩む方の前でそんな悠長ことは言ってられません。
理論を学習する時点から知識を活用する力を蓄えることが
臨床現場に立つ方にとって効率的な学習になります。
アカデミーでは、テキストを読みその内容に関連する練習問題を解くことで、
吸収した内容が身につけているかを確認していきます。
これは中医学の知識をアウトプットすることで
複雑な臨床に対応できるために不可欠必要なステップになります。
アカデミーの問題の設定では、なぜ正しいか誤りかについて丁寧にその解釈を加えています。
その理由をご理解いただくことで勉強が更に楽しく進み、
近い将来の臨床に役立つと考えています。
今回は、中医内科学に関する穴埋め問題を紹介します。
設問文の途中に抜けている個所を埋めて下さい。
問題:
苔薄黄膩・脈濡数は感冒の( )証の症状に属する。
解釈:
濡脈は浮で細くて軟らかく、虚証と湿証の場合に見られる脈象です。
濡脈が数脈と一緒に表れた場合、感冒の暑湿証の特徴が反映されています。
従って、正解は「暑湿」です。
暑湿という単語を書き入れるかどうかがアウトプットの訓練になります。
更に暑湿の治療に関する情報を解釈の中に加えます。
暑湿証の感冒の治療方剤は新加香薷飲(しんかこうじゅいん)です。
新加香薷飲の配合特徴は辛温解表袪湿の香薷と
辛涼解暑解毒の連翹・金銀花を併用している点にあります。
この問題を通じて「苔薄黄膩・脈濡数」が感冒の暑湿証を反映する特徴であることを覚え、更に新加香薷飲を理解するようになります。
日本では新加香薷飲のエキス剤を手に入れることができなませんが、
中薬学、方剤学の学習を深めることで他の方剤で代用することが可能になります。
例えば、藿香正気散と銀翹散の併用で新加香薷飲を代用することが出来ます。