国際中医師とは

国際中医師とはどういう職業なのか、どうやったら国際中医師になれるのか、試験の難易度はどのくらいなのか、似ている他の資格とはどう違うのか、どのように活用できる資格なのか、について解説します。

国際中医師とは

国際中医師とは「中医師相当の知識を有する中医学の専門家」として中国政府の外郭団体「世界中医薬学会連合会」が認定した国際資格です。

中国には国家資格として、西洋医学の「西洋医師」とは別に中医学(漢方)の医師の資格があり「中医師」と呼んでいます。「中医師」になるためには、日本の医薬大学と同じく難関の中医薬大学などに入学しなければなりません。

そんな中、中国政府は、中医学を世界に普及させるため、「中医師」並みの知識レベルを有した「国際中医師」の資格を設けました。中国政府の外郭団体である世界中医薬学会連合会が主催する国際中医師試験(国際中医師標準試験)に合格すると、「国際中医師」の称号が得られます。

中医師と国際中医師の違い

中医師

主に中国国内での資格です。中国の大学で中医学(伝統中国医学)を専攻し、卒業後に中国の国家試験に合格することで中医師資格を取得します。 この資格は中国国内でのみ有効で診療や処方が可能ですが、日本で医療行為はできません。

国際中医師

国際的に認められる資格で、中国国内での診療や処方の権限はありませんが、国際的な中医学の知識やスキルを証明するものです。
日本や他国で中医学を教えたり、研究やアドバイザーとして活動する際に役立ちます。
国際中医師資格は、中医学の分野で成長し続けるための登竜門とも言え、取得後もさらなる学びを深めるための基盤として重要な位置付けにあります。この資格を持つことで、多くの複雑な病証に対する弁証論治の力を磨き、より高い専門性を身につける可能性が開かれるため、資格取得後も継続的に勉強を重ねることが求められます。
国際中医師は、まだ発展の途中にある人材であり、弁証論治のさらなる実力を培うことで、より多くの症例に対応できる中医学のスペシャリストへと成長する潜在的な能力を持っています。ですので、この資格を取得した後も、知識や技術を深める努力を続けることが非常に重要とされています。
※医療行為はできません。

国際中医師になるには

国際中医師になるには国際中医師の資格を取得する必要があります。

国際中医師になるには国際中医師の資格を取得する必要があります。中医学アカデミーでは資格取得のための国際中医師試験を毎年1回、2日間に渡って開催しています。

国際中医師試験の受験資格

国際中医師試験を受験するには通常、中医師に近い基準の受験資格を有している必要があります。しかし下記の通り当校指定の講座を受講し修了いただければ、それだけで受験資格が取得できます。

国際中医師試験を受験するには当校の

  • 資格取得講座
  • 本科講座(ビデオ付き)

以上いずれかを修了する必要があります。

試験を受けると約1ヶ月後に世界中医薬学会連合会から当校へ結果内容が届きます。合否は当校より各受験者へ文書にてお知らせします。

国際中医師試験の詳細についてはこちら

国際中医師試験の難易度

国際中医師資格の取得難易度について

国際中医師資格を得るには、年に1回行われる国際中医師試験を受験し、合格する必要があります。

国際中医師試験を受験するには上記の通りの受験資格が必要です。通常この受験資格を得るのに10~15カ月程度の学習が必要となります。これに試験対策と試験までの期間を加えると、1年~1年半程度の期間がかかります。

ただし、すでに漢方薬局にお勤めの方やある程度の知識・経験をお持ちの方の場合、短期間で取得することも可能です。当校では最短で3カ月で取得した受講者もいます。E-ラーニングであるため、自分の能力に応じて適切なスピードで学習を進められるのも当校の大きなメリットです。やる気さえあれば資格取得までの期間を大幅に縮めることもできるのです。

国際中医師資格取得に必要な期間

試験対策も含め、通常1年~1年半程度の期間が必要となります。
※資格取得講座の受講(10~15カ月)+試験対策(1カ月以上)+試験までの期間
試験は毎年10月上旬~11月下旬に行われます。取得を急ぎたい方は早めの受講をお勧めいたします。

国際中医師試験の合格基準

全6教科、各教科100点満点中60点以上を合格とします。

国際中医師資格取得に必要な費用

合計:578,900円(税込)
資格取得講座:396,900円
国際中医師資格試験:182,000円

試験合格と臨床での活用に向けたサポートについて

当校では試験対策として、過去問での練習だけでなく、最難関科目である「弁証論治」の対策講座も開講しております。これにより資格取得後の臨床の現場で活かせる「中医学のロジック」のための土台を身に付けることもできます。

国際中医師と中医師、国際薬膳師の違い

中医学は、長い歴史の中で古代の医家達によって膨大な数の診察と処方、そして治療結果を再び診断するという実験を繰り返し行って導きだされた中国の伝統医学です。

国際中医師は、この基本理論に基づき、病状や個々の体質を見極めて適切な治療を施し、 また病気が発症する前の予防(未病先防)が実践できる人材です。つまり、治療方法のひとつである漢方薬を的確に運用することで病気を改善し、健康維持に寄与できるレベルを有しています。

資格国際中医師中医師国際薬膳師
種類認定資格国家資格認定資格
役割漢方医療の専門家漢方医療のプロ漢方を取り入れた料理をする人
活動治療、診断、薬などの処方治療、医療行為、診断、薬などの処方レシピの考案と料理の提供
説明日本では医師資格とは認められていませんが、中国国家が外国人に対し「中医と同等の正統な漢方の知識を有する専門家である」として与える資格です。中国本土では医師として医療行為に携わる資格と同等の知識を要求される資格です。中国では、西洋医とともに中医(中医学の医師)が国家資格として認められ、西洋医と協力して患者の治療に当たります。中医は患者を診断し、治療方針を立て、それに沿った方剤を処方する・・すなわち医療行為を行います。中医学の基礎理論を学んでいる点は中医と同じですが、医療・治療行為に携わる資格ではありません。医療・治療の補助として、あるいは養生としての食事のレシピを考える役割となります。中医師が医療のプロ、薬膳師はサポートの専門家と言えます。
※ 日本では国際中医師、国際薬膳師は、医療行為ができる資格として認められておりません。

国際中医師資格の活用法

医師の方へ (医学処方の知識を深めるために)

医学の視野を広げます。西洋医学の視点と中医学の視点から細かく判断する事ができるようになります。処方する上での自信にも繋がります。

西洋医学とは精密な検査、診察の後、病名を特定し薬を処方します。
しかし慢性疾患の患者に対する適切な診断、治療が弱いのが現状です。中医学を学ぶことで中医学の面からも診断が出来るようになります。患者の病状により漢方薬も有効に使うことができ、治療効果を高めることができます。
例えば同じインフルエンザを治療する際にも患者の症状の特徴を観察し、現れた症状によって漢方薬の選択が可能になります。インフルエンザによる高熱でも口渇があり、汗が多い場合には、抗ウイルス剤に【白虎加人参湯】を加えることで効果が高まります。高熱で口渇はみられず、寒がり、無汗の場合には、抗ウイルス剤に【葛根湯】などを選びます。このような治療方法は中西医結合の一つの方法として中国では多くの病院で取り入れています。この分野では中西医結合の名医もたくさんいます。

薬剤師の方へ (漢方相談の幅を広げるために)

漢方相談で付加価値を。未病を防ぐ「未病先防」によって適切な漢方薬の提案ができるようになります。相談の幅が広がります。

中医治療の最も大きな特徴に「未病先防」という考え方があります。未病先防は、文字通り「未だ発生していない病気を先に防ぐ」ことです。誰でも病気を患えば適切な治療を受けるために病院で受診されます。しかし検査の結果、病気はみつからなかったのに体調がすぐれないといった悩みをお持ちの方がおられます。このような方には、「未病先防」による適切な漢方薬の服用が有効となります。既に病気を患い病院で受診しながらも病気の悪化を防ぐことを目的にまた健康増進や日々の養生方法など安心して健康相談ができる医療現場の一つとして漢方相談を中心とした薬局の役割は、地域医療の核となります。また、大手ドラッグストアやコンビニエンスストアとの差別化できます。

整体師・鍼灸師の方へ (効果的な治療の一つとして)

虚実を判断して瀉補の治療方法を活かす。体の痛みを細かく判断する事ができ、体の状態に合わせて適切な施術が可能になります。

整体と鍼灸の分野でも、八綱弁証と臓腑弁証が治療には欠かせません。鍼灸、整体による治療に陰陽虚実寒熱などの正しい判断と、それを反映させるための基礎学力の習得は極めて重要です。例えば、虚証による痛みの治療に瘀血を治療する瀉法を用いれば、一時的に症状が改善しても、その後には症状が悪化する場合があります。虚実を判断する診断ポイントが理解できていなければ、このような誤った治療を施すことになります。また、幅広い中医内科学までを履修することで、患者さんとの信頼関係も深まります。

開発の方へ (健康食品開発の知識として)

開発の新しい切り口に。中医学の理論を活かして、新しい切り口での商品開発が可能になります。クライアント様の信頼度もアップします。

漢方薬と漢方サプリの開発は薬理学的な評価だけでなく、中医学的な配合理論と弁証論治理論による製品化が重要となります。西洋医学の薬理学的な評価には中医学での寒熱、補瀉などの概念が含まれていません。商品の薬理学的な評価の上に、中医学の理論を活かして、どのような体質によいか、効果の現れ方、効果が得られない体質などの情報をクライアント様へ提供をする事ができます。

販売の方へ (健康食品販売など商品推奨に)

他社との差別化に利用可能です。競争が激しい健康食品販売で詳しい商品説明ができる事でお客様からの信頼度も上がります。

漢方サプリなどのインターネット販売では商品数が多く、利益率もよいということで参入者が多くいます。その分競争が激しい分野でもありす。近年では差別化のために専門家による電話相談という窓口を採用しているところもあります。中医学を学ぶ事で、どのような商品がよいか、ユーザーの皆様の体質に合わせた商品の推奨が可能です。競争激化の分野で差別化という意味においても最高の武器となります。

国際中医師を目指す方のための受験資格取得講座はこちら

このページの著者

董 巍(とう ぎ)

中医学アカデミー長、世界中医薬学会連合会常任理事、中医薬学会連合会理事長、中医師

経歴: 1959年生まれ。 遼寧中医薬大学卒業後、大連第三人民病院内科学中医内科で医師として勤務。 1990年に日本へ来日し、日本医大丸山ワクチン・薬理教室の客員研究員を務める。 その後、日本中医薬研究会の講師を経て、特定非営利活動法人「中医薬学会連合会」を設立し理事長に就任する。翌年には中国 世界中薬学会聯合会常任理事も兼任。 2011年に世界中医薬学会聯合会認可のもと中医学アカデミー を設立し、国際中医師の育成と中医学の普及に力を注いでいる。