中医アカデミーのシステムには国際中医師試験の過去問題をすべて登録してあるので、
勉強中に中医学を学びながら、国際中医師試験の準備に繋がります。
今回は逍遙散の投与に関する問題を紹介します。
問題内容:
患者は数ヶ月前より両脇脹痛、口燥咽乾、神疲乏力、不思飲食、月経不調、
月経前に乳房が張る、舌紅苔薄白、脈弦虚。治療でまず選ぶべき方剤はどれか?
A.四物湯
B.生化湯
C.逍遙散
D.温経湯
E.一貫煎
解釈について
選択肢Aの「四物湯」は血虚を治療する方剤です。脾虚と肝鬱との関係はありません。
選択肢Bの「生化湯」は血虚で宮寒瘀血による病証を治療する方剤で、
肝鬱と脾虚との関係はありません。
選択肢Cの「逍遙散」は肝鬱血虚、脾虚失健の病証を治療する方剤です。
選択肢Dの「温経湯」は衝任虚寒で瘀血阻滞による病症を治療する方剤で、
肝鬱と脾虚との関係はありません。
選択肢Eの「一貫煎」は肝陰不足、肝気不疏の病証を治療する方剤で、
脾虚との関係はありません。
従って、選択肢Cの「逍遙散」を選びます。
注意点:
「両脇脹痛、経不調、月経前に乳房が張る」は肝気不疏による病理状態を反映する症状です。
「神疲乏力、不思飲食」は気虚、脾気不健の状態を反映する症状です。
「舌紅苔薄白、脈弦虚」は脾虚と血虚と肝鬱があり、鬱熱を伴う病理状態を反映します。
この分析から肝鬱血虚、脾虚失健と判断することができます。
この問題のトライで得るものは、
症例の情報を分析し、その病理要点が肝鬱血虚、脾虚失健であることを判断し
疏肝補脾のために、五つの方剤の中で、逍遙散を選ぶ理由がわかるようになります。
一貫煎と逍遥散には肝鬱を治療する共通点があり疏肝ができます。
相違点は、一貫煎は補陰を中心にした補陰剤ですが、
逍遥散は疏肝健脾を中心にして肝脾調和剤です。
両方剤の鑑別要点について、
逍遙散は補脾できますが、一貫煎はできません。
一貫煎は補陰できますが、逍遙散はできません。
逍遙散を投与する場合、陰虚の有無をチェックが必要あると考えられます。
従って、一つの方剤の問題のトライで、脾虚肝鬱の弁証、
逍遙散の投与ポイント、その注意点などの知識を手に入ることになります。
一つの問題にトライし概念を固めながら、関連する知識も
習得することができるのは中医学アカデミーの勉強システムの特徴の一つです。