方剤学/炙甘草湯に関する問題

方剤学の炙甘草湯に関する問題
中医アカデミーのシステムには国際中医師試験の過去問題を
すべて登録してあるので、勉強中に中医学を学びながら、
国際中医師試験の準備に繋がります。

今回は炙甘草湯の投与に関する問題を紹介します。

問題内容:

益気滋陰と補血復脈の効能がある方剤はどれか?

A.生脈散

B.炙甘草湯

C.清暑益気湯

D.補中益気湯

E.当帰四逆湯

回答結果はBです。

解釈について

選択肢1の「生脈散」は益気生津、斂陰止汗の効能があります。

選択肢2の「炙甘草湯」は益気滋陰、補血復脈の効能があります。

選択肢3の「清暑益気湯」は清暑益気、養陰生津の効能があります。

選択肢4の「補中益気湯」は補中益気、昇陽挙陥の効能があります。

選択肢5の「当帰四逆湯」は温経散寒・養血通脈の効能があります。

従って、選択肢2の「炙甘草湯」を選びます。

注意点:

補血復脈の効能をもつ方剤は炙甘草湯だけで、別名は復脈湯といいます。

選択肢の五つの方剤で、益気滋陰の効能を持つのは、生脈散、清暑益気湯、炙甘草湯です。

この三つの方剤の相違点について

生脈散は益気滋陰と共に、斂陰の効果もあるので、気陰両虚による
汗多神疲、体倦乏力、気短懶言、咽乾口渇、舌乾紅、少苔脈虚数の治療に用います。


炙甘草湯は益気滋陰と共に、補血腹脈もできるので、気虚血弱による
脈結代、動悸、体羸気短、舌光淡紅か舌紅乾燥、
少苔及び虚労肺痿の乾咳無痰・或は喀痰不爽・痰中に血絲が混ざり、形瘦気短・虚煩眠差・
自汗或は寝汗・咽乾舌燥・大便排出困難・或は虚熱・脈虚数の治療に用いられます。


清暑益気湯は益気滋陰と共に、暑熱を清解することもできるので、
中暑受熱・気津両傷による身熱多汗・心煩口渇・小便短赤・体倦少気・
精神不振・脈虚数の治療に用います。


炙甘草湯の配合について、炙甘草と生地黄を君薬として、
炙甘草の甘緩で益気健脾を通じて復脈に働き、生地黄は滋陰補血を通じて脈を養います。

この問題のトライを通じて

炙甘草湯を理解してもらうために、解釈の部分で生脈散、清暑益気湯の情報を詳しく提示しました。

一つの問題にトライして、これら三つの方剤の効能から方剤の使い方まで把握することができるようになります。

方剤の勉強では、効能の表現をどのように臨床応用に結びつけるかで
悩む方が多いかもしれませんが、病因病理による症状群という情報から方剤の
効能と方剤の使い方を深く理解するようになると考えています。

このように方剤を勉強することで、理解が深くなると共に、臨床の使い方を掴むことに役立つと考えています。

中医学アカデミーは生徒さんの成長のために、引き続き努力してまいります。