中医基礎理論の過去問題

日本で国際中医師試験が実施されてから既に20数年経ちました。
国際中医師試験のための勉強は、中医学の5教科の理解度を確認するうえで
有意義な試験だと考えています。

なんとなく、分かったような気がする、では何時までたっても力がつきません。
問題と選択肢の内容を理解することで、ご自身の理解の程度がよくわかるようになり
同時に臨床力の土台も強まります。

これから、国際中医師受験の問題について、例を挙げてその重要性を説明します。
まず、中医基礎理論の問題を取り上げます。

<問題>
寒邪によって引き起こされる各種疼痛の病機はどれか?
A.気機を収斂させ、腠理を閉塞させる
B.経脈の気血を凝結阻滞させる
C.陽気を損傷させ、温煦を失わせる
D.気津を耗傷させ、濡養できなくなる
E.気機を阻滞させ、血行を遅緩させる

この問題の学習範囲は、寒邪の性質である凝滞と収引との違いと発病の特徴です。
寒邪の特徴や寒邪が侵襲した部位によって発病の症状が変わること
また寒邪と湿邪および寒邪と燥邪の違いが理解できているかどうか確認できます。

問題を解釈すると
Aの「気機を収斂させ、腠理を閉塞させる」は、寒邪の収引による病理です。
Bの「経脈の気血を凝結阻滞させる」は、寒邪の凝滞による病理です。
Cの「陽気を損傷させ、温煦を失わせる」は、寒邪の病理の特徴で
「寒は陰邪、陽気を損傷しやすい」によるものです。
Dの「気津を耗傷させ、濡養できなくなる」は燥邪の病理特徴です。
Eの「気機を阻滞させ、血行を遅緩させる」は湿邪による病理です。

問題内容は、寒邪によって引き起こされる各種疼痛の病機ですから
回答はBの「経脈の気血を凝結阻滞させる」を選びます。

アカデミーではそれぞれの問題に対して解釈し、その他に注意すべき点なども説明しています。
例えば、寒邪の特徴の「収引」と「凝滞」は、寒邪が侵入した部位によって
発生する症状が異なります。

国際中医師試験の学習教科は、中医基礎理論、中医診断学
中薬学・方剤学・中医内科学の5教科が基本です。
どの教科もそれだけ学習すればよいわけではありません。

特に中医学学習の土台は、中医基礎理論です。
中医基礎理論の勉強はそれぞれ専門用語を正確に理解し、中医学的な
推測力と分析力を身につけるために非常に重要な学習教科です。

国際中医師